C4C TIMES

連載企画「ITエンジニアの君たちはどう生きるか」

第5回
エンジニアとして叶える社会貢献の夢

2018年3月15日

2017年のソニー生命の調査によると、男子中学生の「将来なりたい職業ランキング」でプロスポーツ選手などを抑え、「ITエンジニア・プログラマー」が1位に輝きました。

ピアノ、水泳などの教室に並び、プログラミングは子供が習う人気の習い事になりつつあります。
ITエンジニアを目指す学生や、なりたての人も少なくないでしょう。

しかし、最初のデジタルコンピュータが世に出てきてわずか70年程度。ITエンジニアはまだ若い職業なのです。

スキルはどう積んでいけばいいのか?年を取った後のキャリアは?疑問は尽きません。

そこで、エンジニア40人を擁するITシステム開発企業、C4Cが5回連載で、エンジニアとしてどう生きるかのヒントを考えてみました。

好待遇ややりがいを求め様々な人が集うエンジニアという仕事。その多くは、ほかの職業と同様に自己実現が目的です。ただ、追う夢は人それぞれ。最近はお金や地位だけでなく、社会貢献に人生の目標を定める人も増えています。4月から所属予定のC4Cで、聴覚障がい者にエンジニアとして活躍できる場を作るため奔走する有馬哲平さん(34)に話を聞きました。

サッカー一色の青春からエンジニアへ

――――最初から障がい者の方と関わる仕事をしてきたのですか?

いえ、実は高校時代からやっていたサッカーを社会人になっても続けていました。英国に留学後、北海道で契約社員などをしながら社会人チームでプレーしていたのですが、27歳ごろに引退を意識しました。

最初はデザイナーに興味を持って、ウェブデザインを専攻しようと職業訓練校に行きました。しかし、エンジニアの方をやりたくなって飛び込み、約5年のキャリアを積みました。
最近では、自分でコードは書かず、エンジニアと顧客の橋渡し役となって、プロジェクトの「要件定義」などを行う「ディレクター」という仕事を務めています。

一方、今の妻となる女性が聴覚障がい者だったことから、そういった人たちと友達になり、一緒にスノーボードやカラオケなどによく行くようになりました。
はじめ、聴覚障がい者は手話でなくてはコミュニケーションが取れないと思い込んでいたのですが、実際に接してみてみると全くそんなことはない。話せる人も、唇の動きを読み取って健常者の話す内容を理解できる人もとても多い。むしろ、ものすごくおしゃべりな人もいるくらいです。
そして、個人差はあれ本当に明るく、裏表のない人ばかり。耳が聞こえない以外、健常者と何も変わらないのです。

妻やその友人たちと関わって手話などを学んだりする中、この人たちに自分の仕事であるエンジニアの立場から何か力になれれば、と真剣に考えるようになりました

聴覚障がい者とマッチするエンジニアという仕事

――――聴覚障がい者の人々がエンジニアとして働ける場所を提供できる取り組みを目指していると聞きましたが、具体的には?

まだ始まったばかりですが、聴覚障がい者の人がエンジニアとして働けるよう、実際に派遣先の職場に説明して積極的に送り込む取り組みを始めました。

エンジニアとは、基本的にはパソコンでコードを打つ仕事ですし、コミュニケーションも文字情報を画面に打ち込んでする場合が多い。これほど聴覚障がいとマッチする仕事もないと痛感しています。

とりあえず、障がい者支援に理解のあるC4Cの亀山社長と組み、既に技術を持つ聴覚障がい者が働けるよう、取引先と話し合って受け入れ環境の整備を進めています。

ゆくゆくは、聴覚障がい者がいちからエンジニアの技術を学べるよう、受託開発できる環境を社内に設けられればと思います。

interview

健常者と変わらないのに…

――――なぜ、そこまで聴覚障がい者の人々の力になりたいと思ったのですか?

妻の回りの聴覚障がい者の人々と仲良くなっていく中で、仕事に不満や不安を抱えている人が多いと感じました。障がい者は国から障害年金が出るのですが、 それと実際に働いてる給料で何とか生活できるというレベルの人ばかりなのです。

毎日、平日8時間勤務でも給料は月10数万円、ここから昇給しないという人も多い。 月に10万円もいかないという人だっている。自分の思い描いているライフスタイルを実現できているのは個人事業主くらいです。

接していても普通なのに、障がい者というだけで健常者と条件が変わりお金に本当に苦しんでいる人が多い。社会全体を変えるのは話が大きすぎますが、自分の回りからそういった状況をまずは変えていきたいのです。

受け入れる職場としては、「聴覚障がい者って本当にコミュニケーションとれるの?」という不安があると思う。
本当の意味で不安があるのは、健常者だらけの環境に飛び込む障がい者の方なわけで、健常者の方から手を差し伸べられればベストなのですが。

だから、私はいろんなエンジニアの現場で、ディレクターという仕事を通じ、手話などを使って橋渡し役を務めていきたい。

そうすることで、健常者が「コミュニケーションの壁は思っているほど高くない」と知ることができれば、手を差し伸べてもらえるきっかけになると信じています。
本当に変えるべきは障がい者でなく、多数派である健常者側の意識なのですから。