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連載企画「ITエンジニアの君たちはどう生きるか」

第2回 エンジニアになる!でも理想は叶うの?

2018年2月1日

2017年のソニー生命の調査によると、男子中学生の「将来なりたい職業ランキング」でプロスポーツ選手などを抑え、「ITエンジニア・プログラマー」が1位に輝きました。

ピアノ、水泳などの教室に並び、プログラミングは子供が習う人気の習い事になりつつあります。
ITエンジニアを目指す学生や、なりたての人も少なくないでしょう。

しかし、最初のデジタルコンピュータが世に出てきてわずか70年程度。ITエンジニアはまだ若い職業なのです。

スキルはどう積んでいけばいいのか?年を取った後のキャリアは?疑問は尽きません。

そこで、エンジニア40人を擁するITシステム開発企業、C4Cが5回連載で、エンジニアとしてどう生きるかのヒントを考えてみました。

英会話や水泳などと並び、保護者が子供にさせる習い事の上位に「プログラミング」が入る今。エンジニアは理系・文系を問わず学生の花形の職業です。しかし、なる前の理想と現実は常にずれるもの。そこで、C4Cに今春入社予定の神園萌さんと、同社社長でIT業界を長く見つめてきた亀山強氏が、内定者と社長という真逆の立場からの本音、そして「なる前に抱いた理想は本当に叶うのか」について語ってみました。

「社会の提示する働き方」に感じた不信感

―――亀山 エンジニアを目指したのはなぜですか?

―――神園 もともと姉がC4Cに在籍していてエンジニアに関心を持ちました。
でも、肉親がいるからいいというわけではありません。文系の専攻でしたので、理系と比べると強いアピールポイントもなく、「何にでもなれるし、何にもなれない」というもやっとした不安がありました。

だからと言って、他の学生のように流されるまま大手企業の説明会に行くのは嫌でした。インターンの間はいい部分のみを見せ、実はブラックな企業もあると聞きます。
いくら大手の福利厚生や給与が安定していると言っても、今の時代にそれがずっと続くとも思えません。

そうした「社会が提示する、よくある働き方」を嫌だと考える中で、C4Cに出会いました。
社員の方々の話を聞く中で、大手と違って「自分以外に代わりの利かない仕事」ができると確信し、入社を決めました。

プログラミングだけでなく「学んだその先の選択」を

―――神園 春からエンジニアとして働く前に、事前に知っておくべき、考えておくべきことはありますか?

―――亀山 実は、プログラミング自体はたいていの新人なら、文系出身者でも3年ほどきちんと努力すれば「合格ライン」に到達できます。基礎を修めた後、自分がどうなりたいのかを考えるのが一番重要です。そのまま技術だけをひたすら磨く人材もいれば、私のようにエンジニアとのコミュニケーション能力に特化する人だっています。

決断自体はそのときにすればいいと思いますが、将来、どんなエンジニア像を目指すのかはあらかじめ考えておくべきです。例えば、ITを使った新しい商売を考えたら、自分の手でそれを形にできるのもエンジニアの楽しさの1つです。

―――神園 一方、将来、自分が若くなくなった時に何ができるのかというのが不安。プロジェクトにも年齢の高い人は呼ばれないということもあると聞きました

―――亀山 そこは本当に大事な点。何となく目先のことしか考えていない人間も多いですが、その不安を感じられるなら、必ず答えは見つかります。

C4Cをはじめ、会社はいろんな選択肢を用意します。最初の数年は、プログラミングの基礎などを、それこそ必死で取り組んだ学校の部活動のように「もう二度とやりたくない」と思い出すくらい頑張って学んでほしい。

その中で自分の本当の価値が何なのかも並行して考え続けてください。

interview

「理想の働き方」は叶う?

―――神園 「もう二度とやりたくないほど頑張る」とおっしゃいましたが、私は仕事とプライベートの両方、自分の人生全体を充実させたいです。例えば海外旅行も行きたいし、女性なので出産・育児もきちんとこなしたい。エンジニアでワークライフバランスは叶うのでしょうか?

―――亀山 正直、私の若いころはそれこそ「ぐっちゃぐっちゃ」になるまで働き詰めになった体験もしました。労働の最低限の「義務」を果たすだけでは、特に創意工夫の多いエンジニア業は面白くない。会社を利用して個人がやりたいことをやるのは大事ですが、会社側としても個人に頑張ってもらって利益を上げるという責務がある。新しく入ったエンジニアの要望を100%受け入れた働き方が、絶対に叶うとは言い切れません。

しかし、C4Cのような中小企業は型にはまった大手企業と違い、エンジニア個人が仕事に責任を負う分、働き方も自由にカスタマイズできるのが強みです。確かにワークライフバランスを考える方向に時代も変わりました。会社としても、エンジニアと対話して働き方の選択肢を柔軟に示し、希望を叶えていきます。

逆に神園さんがどんな働き方を望むのか、これからどんどん提案してほしい。それは利益だけを追求する大手のような会社にはできないことですから。